2017-04

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〈本〉の彼方 9

今井欣子、喜多さかえ、鶴﨑裕雄・著『連歌集 伊勢三吟』
(和泉書院刊)
―「図書新聞」掲載

 雅な芸術として中世から行われてきた「連歌」は、江戸期に入って俗のパワーにあふれた「俳諧の連歌」(俳諧または連句ともいう)にバトンタッチされていく。小西甚一氏の名著、『俳句の世界』の言葉を借りれば「俳諧は浴衣がけの連歌」であり、「連歌は、完全に古典的な感覚から成り立った藝術であり、おそろしく細かい神経を必要とする……磨きぬいた『雅』の世界」ということになる。俳諧の連歌、いわゆる連句は今日でも座の文芸として親しまれているが、連歌は一般的にはほとんど知られていないといっていいだろう。
 衰退した連歌の復興を願って、平成十四年、三重県伊勢市に三重連歌の会が発足した。本書は発足にかかわった三人による連歌集である。前田圭衛子氏が編集発行する連句誌『れぎおん』に連載された連歌三十二巻に番外の一巻を加えて一冊にまとめられている。
 三人で交互に詠んでいくのが「三吟」。一巻が四十四句からなる「世吉(よよし)連歌」で巻かれている。歌のやりとりはファックスで行われたそうだ。それぞれの巻の下段に随筆(留書)が置かれている。島津忠夫氏の序文に「下段の文章と合わせ読むことによって、座にあった人はもとより、座になかった人にもその雰囲気をいささかでも味わわせてくれることになる」と記されているとおり、留書を読むと四十四句の織りなす世界の奥行きがぐんと深まる。  
 著者の一人で連歌の復興に長年力を尽くしてきた鶴崎裕雄氏は、「連歌の楽しさは前句をいかに活かすか、そして自分の句がいかに活かされるかである」と記している。読みすすむにつれて、一人ではたぶん思いもつかないイメージの大胆な飛躍や響き合いといった付け合いのなんともいえない妙味に、しばし時を忘れた。
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梶葉子

Author:梶葉子
読書のよろこびはなにものにもかえがたいものです。
私を実に実に遠くまで連れ去って
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そこに吹く風や漂う香りを感じさせてくれる
書物に感謝しつつ
ささやかな感想をしたためていきま

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